先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、
数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで
感じた何気ないことを語ります。
先週末、「国営アルプスあずみの公園」に行ってみた。前回書いたように、休日はできるだけ大吉の筋トレをかねてイレギュラーなお出かけをしようと思っているからだ。そして、時間があればなるべく通い慣れたところではなく、初めて訪れる場所に連れて行ってやろうと思っている。
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お出かけで大福を喜ばせたい
なぜなら、そのほうが大福が喜ぶからだ。私たち人間は、行ったことのないところでもテレビやネットや雑誌で、だいたいどんなところか知っている(実際に行くと全然違ったりするけども)。
けれど、犬は実際に目にする世界しか知らない。少し大げさだが、初めて訪れる場所は犬にとってどこも知らない世界なのだ。だから、そんなところに到着すると、犬は目を輝かせて「何ここ!」とあちこちクンクンにおいをかぎまくる。
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しかし、何度もそこへ行っていると、喜びはするが次第に「あぁ、またここね」というリアクションになっていく。どうせ遊びに行くなら、知らない世界を見てみたい。犬は話せないから本当の気持ちは分からないが、たぶんそんなところではないかと思う。
広大な公園での大散策
登山にはまだ少し季節が早いので、今回は手頃な公園を探してみた。着いてみて思ったが、いいチョイスだった。というのは、広大な敷地に、特に何もないのだ(春は花が綺麗らしい)。
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それは悪い意味ではなく、特別な施設なんかない、なるべく自然が多いところのほうが犬たちは好きだからだ。
敷地の中を、手つかずの川が流れていて、ほどよく人の手が入った散歩コースがあるだけ。そんな公園でも、大福にとっては初めて見る世界であり、好奇心が刺激されてあちこちクンクンしながらごきげんで歩いていた。
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お昼はベンチでおにぎり弁当を食べて、また散策する。何もない公園だからか、週末だというのに驚くほど人がいない。それもよかった。
しっぽフリフリの大福の後ろ姿を見ながら歩いているとき、まさか自分がこんな時間を楽しむようになるとはと、しみじみ思った。
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もともとインドアで、どちらかといえば場末の焼鳥屋で飲んでるほうが好きな30代だったのに、八ヶ岳に移住し、何もない公園をただ歩いているだけなんとなく満ち足りた気分になる50代になるなんて。
朝家を出て一時間ほどで公園に着き、ただ二時間ほど歩いただけだったが、帰り道、後部座席で寝落ちしている大福を見て、いい休日だったと思った。富士丸に始まり、大福にここまで変えられるとは。
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プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から
というブランドを立ち上げる。
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ツイッター
インスタグラム
大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。
福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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